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■マイツールがフリー化する日

                                                  2000.0829


■マイツールがフリー化する日

 マイツールが産まれて17年ほど経って、この度10月1日をもって
フリー化になるという。兄でもあるPIPSは数年前にフリー化になっ
たが、ここにきて弟であるマイツールも同じ道をたどるのだろうか。

 元々、PIPSは銀行員であった望月氏が、上司の依頼で毎日違う帳票
を作らねばならなかったことが発端となって産まれた純国産の汎用データ
ベースソフトである。この当時、表計算ソフト第一号のマルチプランも米
国で産声をあげようとしていた。

 そのPIPSを共に育てたのが、千葉の館山で葬儀業を営んでいた、故
長谷川郁祐氏で、長谷川氏の参加でPIPSは更に強力になり、またBA
SICに悩まされ続けた人達を救うことになった。

 やがてPIPSはSORDが扱うようになって、当時ベンチャーの雄と
もてはやされるほどの急成長を遂げた。この頃の逸話に、あまりにもPI
PSが売れ過ぎて経理が間に合わず、仕入先への請求がいつまで経っても
届かないという事があったそうだ。それほど製造、出荷が急がしかったわ
けだ。そのSORDも東芝に吸収されていまは名前もなくなった。

 さて、弟のマイツールはどうなるのだろうか? 同じ運命をたどるとし
たならば、21世紀を目前にひかえて、この純国産の稀代のソフト、「マ
イツール」も消えてしまうのだろうか。誰もが簡単にパソコンを扱え、自
分の分身、秘書が数人いるというような強力なものが消えるのだろうか。

 PIPSが消えた背景には、いくつかのポイントがあった。ひとつには
PIPSが途中から変貌してしまったことである。長谷川郁祐という大戦
略マンを排除したあたりからPIPSはおかしくなった。コンピュータ室
員が勝手にコマンドを作ったり、ファイルシステムを素人では扱えないよ
うなものにしたあたりから路線が狂ってきた。

 もうひとつの誤算は、マイツールというより優れたソフトが存在してい
たことである。多くのPIPSユーザーはPIPSが無くなってもマイツ
ールという別の船に乗り換えをすれば良かった。それは、よりシンプルで
あり、ユーザーフレンドリーであり、まさに初期のPIPSであるとの感
想を多くの人が持ったであろう。つまり「違和感」はなかった。それまで
憶えたコマンドの感覚が同じであったために、ユーザーは覚えた財産を失
ったとは感じなかったのではないだろうか。

 やがて、PIPSがフリー化になったときには、それがタダであるにも
かかわらず、誰もダウンロードしなかった。ダウンロードしたとしても長
くは使わなかった。ある人はエクセルに、ある人はマイツールに、ある人
はファイルメーカーという船に乗り換えていった。

 本題に戻ろう。マイツールのフリー化はもう目の前に迫ってきた。とこ
ろが、PIPSからマイツールへといった代替の船はいまはない。そして
下手に乗り換えたならば、それは「泥船」であって20数年前のあのコン
ピュータに四苦八苦した時代に戻ってしまうのではないかと心配する人も
いる。

 世の中は、ITだ、情報革命だと騒いでいるが、それは鉄道のレールが
敷かれて地球が狭いように感じたようなものだ。よくよく見てみると、い
ま評判になっているものは全て前時代にあったものばかりである。それが
通信という表現方法に変わっただけのことに過ぎない。

 しかし、マイツールは違う。マイツールはそれぞれの会社の、それぞれ
の人が「Fドン」とやって、自分で仕事を創造してきた。そして全国に友
人までできて貴重な人間関係まで築くことができた。
 その知識のボリュームは計り知れないものがある。

 そのマイツールがフリー化しようとしている。私達はPIPSと同じ運
命をマイツールに与えるのか、もしくは発展させようとするのかの岐路に
いま立っている。その中間の道はない。

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