■品質管理について
2000.0706
■品質管理
私が品質管理に興味をもったのは勤めてから5年ほど経ったときだった。
工程管理を担当することになって、まず品質管理とは何であるか分からな
かったので、通信教育で勉強することにした。早速、年末年始の三日間、市内の
ホテルで缶詰になって勉強をしたところ、幸いにも資格がとれた。
しかし、パレート図を描いたり品質管理概論を復習したりと、品質管理はあま
り楽しいものではなかった想い出が残っている。
その数年後に、ふと本屋に立ち寄ってみると、「五分の虫にも一寸の魂」とか
「出る杭はひきぬけ」という黄色と赤の面白いタイトルの本が置いてある。
それが日本の品質管理の元祖である西堀栄三郎の本だとは知らずに買って、読
んでいると、とにかくこれが面白い。まさに痛快な物語だった。
そこで、あまり面白いので他にないかということで探したら、「西堀流品質管
理」という名著があるというので、これも買い求めて読んでみたら、なんのこと
はない、これこそが私が長年求めていた品質管理の本だと分かった。
品質管理の面倒な理論は後にして、私が品質管理から学んだ重要な点について
話してみたいと思う。
それは、管理上限と管理下限についての話だ。
まず、一本の横線を引いてもらおう。それが求める品質のレベルだとしよう。
次に、上下に一本づつ横線を加えてもらいたい。そうすると下の図のようにな
るだろう。
------------- 管理上限
====== 求める品質
------------- 管理下限
そうすると、総ての製品やサービスでもいいが、この求める品質の上にキチン
と添ってくれていればいいが、現実はそうはならない。(^^;)
かなり、暴れるのが通常である。
ここで、暴れに対してどう対処するかで幾通りかのパターンに分かれる。
(1)この品質の線をちょっとでもズレると我慢ならない几帳面タイプ。
(2)上限と下限の間で暴れているならいいじゃないかという楽観タイプ。
(3)上限を超えても関係ないわいという放任タイプ。
あなたは、いずれのタイプだろうか?
結論からいうと、(2)が正しい。
(3)のようにボケーっとしてるタイプは、枕もとに火がきても逃げないタイ
プで、このような者にまかせておくと、黄色ビブリオ菌で汚染された牛乳でも平
気で出荷してしまう。
一方、(1)のタイプは、新幹線のトンネルの崩落に気を使いすぎて、トンカ
チで叩いているうちにトンネルを壊したというように、アチコチ手を加えすぎて
失敗するタイプだ。
ようは、品質などは、ある一定の範囲内で暴れるものだと思ってしまえば、な
んのことはない。お釈迦様の手のひらで遊んでいる孫悟空のようなものでしかな
い。
だから、やるべきことは、上限・下限のいずれかを超えてら、その原因を調べ
て、元に戻すようにすればいい。真ん中で浮遊しているときは管理者は寝てても
いいわけである。
ただ、ずっと寝ててもいいかというとそういう訳にはいかなくて、時々は品質
向上というテーマがあがってくる。そのときはどうしたらいいのだろうか。
私はジャンプだと思っている。
ジャンプは革新の時で、出産の時で、かなり慎重に。しかし妊婦が産むときは、
「いきむ」ようにイッキにやらないと死産になってしまう。
つまり、
----------
+--→ ==========
| ----------
---------- |
========== --+
----------
こんな風にジャンプするイメージをもっている。
そしてまた、出産を終えた妊婦が「ふう~」と息をつくように、安心と安定
の雰囲気にしてやらなければならない。きっと、企業は階段を登るように、品
質安定と革新を繰り返してきたのだろう。
で、私が西堀流で一番面白いと思ったのは、「あまり手を加えすぎないこと」
だった。それは私が手を加えることを良しとして、そのようにやってきた人間
であればこその新鮮な発見であった。
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