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■何故まだオフコンを使うの

         ソフトパワー研究所  所長 清水信博
                                                   2005.0708

■PIPS/MTとの出会い
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 私が25歳当時勤務していた印刷会社では、内田洋行のオフコン(フロッピーベース)で販売管理と工程管理を行っていたが、コダック関連の外部コンサルタントが入り本格的な工程管理をということで、昭和54年に富士通のU-1500というミニコン(1500万)を会社で買うことになった。

 当時は誰もプログラミングなどできないので、私がコンピュータ担当となりFORTRAN言語を必死に勉強したことをおぼえている。そのミニコンもうまく動かず二年後には同じく富士通の3500万のオフコンを導入。そこではCOBOL言語でなければというのでこちらも必死になって勉強して数百本のプログラム開発をした。

 結論からいえば、どんなに現場の要望を入れて、使いやすくプログラミングしても結局は有効活用されなかった。こうして困っていたところに、西先生との出会いがあり、「その悩みはPIPSですべて解決できる」という言葉で私はオフコン地獄から開放さることになった。

 PIPSは、その後リコーからマイツールという名前で販売され、いまでは無料でダウンロードできるまでになったが、大変優れた国産ソフトであるといまでも思っている。
 ビジネスマンは、これをなぜ使わずに外国産のできの悪いソフトを有難がって使うのかが私にはよく分からない。

 何かをしようとすればビーっとエラー音が鳴って、仕事を中断するようなソフトで高速な社会変化に対応できるはずがない。じつは昭和60年代よりも「いまはビジネス速度が低下している」ということに気づいている人は少ないものだ。

 インターネットを使っているから速度が速くなっているというのは大きな勘違いであって、営業活動は歩くことをやめ、納期はことごとく遅れ、企業の不祥事は相次いでいる。まったくもってスピード社会などとはいえないのに、みんな勘違いをして変な投資をおこなって足腰を弱めている。そろそろ裸の王様だという人間が出てもよさそうなのに。

まあ、この話は次回に譲りたいと思う。

■定型業務は
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 昭和60年にはほとんどの業務をマイツールでやっていた。社員全員が奴隷解放のようにオフコンの呪縛を解かれ、意気揚々と自分でコンピューターをたたき出したからだ。テッドネルソンのいうように「コンピューターは自由の道具。人間のしもべ」でなければならない。オフコンにはそれが欠けている。いつも人間が下になる。

 しかし、すべてがマイツール化されてゆく中で、唯一残ったのが販売管理や会計処理だった。

どうも数字をよく扱う部門の人は、「こんなパソコンでは信用できない」と感じるところがあるようで、オフコンメーカーの人間のウソ八百にはうまくだまされて、高額なしかも自由度のないオフコンを盲信してしまうところがある。

 当時の最高級オフコンのメモリーは2MBである。いまのパソコンは256MBは標準で、しかもハードディスクは40ギガなんてざらにあるが、昔はどう頑張っても100MBのディスクを買うのが精一杯だった。(100万もしたからだ)

 マイツールを全員で使いこなす一方、こうした定型業務もオフコンを破棄して、パッケージソフトでやればいいと主張したが、経理担当者の強硬姿勢を経営者も崩せずに、いまでもオフコンを使っている。

 オフコンを使うと喜ぶのはハード屋とソフト屋で、使い勝手に文句をつければ、「はい、そうしましょう。ところでプログラム修正代は100万ですが」と揉み手で擦り寄ってくる。またハードも償却期間を過ぎればメーカーはより高いマシンを売り込んでくる。

 ではそのような投資で、いったいいくら儲かるというのか。答えはゼロである。

 まったく儲からないものに投資し続け、業務効率は上がるどころか低下しているのは経営者であれば誰もが感じているところではないか。ひとつもスピーディな仕事にはなっていないどころか、人数が増え、不要な書類が棚をパンパンに膨らませている。

 こうした矛盾に早く気づかなければならない。

 もうオフコンはJRの緑の窓口と、銀行のオンライン、暇な大学の研究室くらいで、中小企業にはまったく要らないものだと言わなければならない。しかも自社開発の販売管理ソフトなども要らない。そういうものはパッケージソフトが代替わりするから、あなたはパッケージソフトからデータだけもらってマイツールで儲かる分析をすればいいのである。

 また先進的なマイツーラー達は、マイツールでタイムカードの管理をして、そのデータを給与計算パッケージソフトに逆に吸い込ませて、計算させるという荒業をやってのける者もいるくらいだ。そのよほうが数百倍も早い。しかも結果は変らない。

■コンピューターは効くところに使う
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 コンピューターは単独では儲けてくれない。慶応大学のマーケティングで有名な村田教授の「地面に触るようにマーケティングをやれ」という名言でわかるように、金儲けは机上ではない。実際に手足や口を動かして相手のそばまで行かなければ儲かりはしない。

 ところがどうもコンピューター時代になって、猫も杓子もコンピューターというようになってから、仕事の大事な時間をコンピューターが食うようになってきてしまった。

 もちろんコンピューターは使うべきである。こんなに便利なものはない。誰もがコンピューターを使ったほうがいい。

 しかし、あえて逆を言うのであるが、コンピューターで余計な、何も効かない、無駄なことをやってはいけないし、余分な資料は1枚とも出力してはいけないと言っているのである。そういう余計なことをすると必ずどこかで人間が泣く。どうでいいような仕事をあてがわれてヤル気をなくす社員が出てしまうのである。

 我々はこの世に価値を創造するために生まれてきたのだから、誰一人として粗末に扱ってはならないのだと思う。だから「まずは余分な仕事、コンピュータの利用は排除すべきだ」というのが私の考えである。

 コンピューターは「効くところに使う」というのは、じつは「効かないものを排除、廃棄する」ということと同じことを言っている。徹底的に廃棄すれば何に効くかは見えてくる。時間も生まれる。余裕も出てくる。だからまずは廃棄が最初にある。

■オフコン
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 オフコンはもう役目を終えた。
 昭和60年代1980年代でもう製品としての寿命を全うしたのだ。

 いま「オフコンでなければ」という人は、メーカーをみたらいい。メーカーはすでにオフコンをあきらめて、ソフト屋の大半は倒産し、いま残っているのは数十年前の残骸のようなものしかない。

 はやく考え方を変えて、ムダな投資をせずに、ハイスピードで、便利、かつ信頼性と消費税率などの対応も早いパッケージソフトに乗り移るべきだ。

 その前にいまのただ重たいだけの戦車のようなオフコンに見切りをつけるべきである。
 そうすれば、私のようにオフコンの呪縛から解き放たれて、自分も良し、周囲もニコニコで必ずもっと会社は儲かるようになる。

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