■新製品開発について
2004年4月9日
ソフトパワー研究所
所長 清水 信博
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■新商品開発について
オンデマンド印刷が主流になってきて、印刷各社は小部数印刷の
需要を増やそうと懸命になっています。例えば自分史などもそのひ
とつだと思います。
でもよく考えてみると、印刷会社の社員が自分史を作るかという
と、数十万のお金をかけて作ったという人はあまりいないようです。
では役員で定年退職になったから、お世話になった会社に自分史
を製作してもらおうと数千万円の退職金の中からお金を出す人はい
るでしょうか?。これも僕は聞いたことがありません。
しかし営業会議で「新製品開発」となると出てくるのは、自分史
であり、家族の歴史であり、○○であるといった具合です。アイデ
アはいいんです。それに文句をつける必要はありませんが、では、
はたしてアイデアを出している当事者自身は、お金を払ってまでそ
の新製品を買うのかといわれると、どうなんでしょう?。
■誰かが好きでなければ新製品開発はできない
新製品開発には「筋」があります。これはいいと思うようなもの
がないとダメです。筋の悪いものはどれだけ手をかけても育ちませ
ん。
そして、誰も良いと思わないけれども、俺はいいと思うから作っ
たんだというのが新製品開発の特徴です。
一方、話を聞いてみんなが一斉にそれは良いと思うような製品も
良いでしょう。でも私の経験からは、それは大ヒットにはならない
ような気がします。凡打といったところでしょうか。
新製品開発、サービスの開発は、周囲や顧客を「アッ」と言わせ
なければなりません。赤チップを打たなくても顧客のほうから注文
書を握って飛び込んでくるようなものでなければ面白くありません。
赤チップを不要にすること。それがマーケティングだという有名
な言葉がありますが、まさに新製品開発は営業を不要にするくらい
のものが値打ちがあります。
だから私はいつも新製品開発をするときには「少なくとも自分は
お金を払ってこれを買うだろうか?」と問いかけることにしていま
す。
パソコンは即自費で買いました。マイツールも即買いました。
役立ついいものだから、高いけど自費で買いました。
■自社製品について
自動車会社でこんな話を聞いたことがあります。
T社に勤務する人間はT社製の車しか乗ってはいけないという話
でした。下請会社も仕入先もT社製を押し付けられそうです。
たとえどんなにデザイン、機能が悪くても自社製品に乗らなけれ
ばならないというのは辛いことだと思います。
人はそれを「愛車精神」だというかもしれません。
しかし私のように変人かつバイオリズムが正反対の人間は、こう
いった強制には断固反対したくなります。
これは愛車精神ではなく、企業が利益第一で、人間を犠牲にして
いる姿にしか見えません。
社員や下請けが買いたくなるような車を作ることが第一であって、
ボロを我慢して買う必要はどこにもないと思うのですがいかがでし
ょうか。
■違和感のある新製品開発
私は、いまの過度に刺激的なTVゲームは好きではありません。
画面上で格闘や殺人を簡単に行うようなゲームは、いずれ淘汰さ
れるのではないかと思いますが、一方これらで得た技術が映画の3
Dやデザイン、建築のシミュレーション等々で活かされていくのは
大事なことだと思います。
戦争は悪ですが、反面そこで得られた技術が世の中の役に立つと
いうことはよくあることです。敵が放った弾道を素早く計算するた
めにコンピュータが生まれたというのは有名な話です。
初期の新製品開発につきまとうのは、あまり良い評判ではない場
合が多いです。みにくいアヒルの子といった印象でしょうか。
しかしながら、みにくいアヒルの子だからこそ、たった一人でも
いいから面倒をみてやる人間が必要なのかもしれません。
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