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■企業革命の事例

                          2003.0514

             ソフトパワー研究所  所長  清水 信博


■企業革命の事例

 いま私は、H社という印刷会社のコンサルティングを行っ
ている。ここは昨年度TOCゲームを数回実施した際に理論
についても学習はしていたが、実際にやってみた営業部門で
は数ヶ月も経ずにリードタイムが十分の一になり、めざまし
い成果をあげている。

今年に入ってからは企業見学をさせてほしいという会社が
相次いでいる。そして実際の現場を見た方の感想は、「まさ
に目から鱗が落ちたようだ」とビックリされて質問もでない
ことがよくある。


こうして、TOC効果を感じた経営者が今年の年頭にTOC
の全社本格導入を決意。最も繁忙期である2月にキックオフ
委員会を開催。これまでの同社では繁忙期にプロジェクト開
始などは考えられなかったことである。


■人員減なのに時間短縮を実現

キックオフ委員会では趣旨説明、今後の展開に加えて各職
場の仕事の分析、ワークフローの作成を指示。約一ヶ月後の
二月末には全職場での発表会をすると話をした。まさに特急
で企業革命を起こそうということであるが、参加者も繁忙期
の中、ほぼ全員が自分の仕事を描いて集まってきた。
 じつに良くやってくれたと思う。


 その発表会の中で、声が小さくてよく聞き取れなかったが、
「このようにして三時間の時間短縮がはかれました・・」と
いう発表があった。どうしても気になったので、後日本人に
直接話を聞いてきた。それが、今回ご紹介するS君の部門。

 彼はコンピュータを使っての画像関係を扱う部門のリーダ
ーで、二名の部下を抱えています。組織としては小さいが、
コンピュータに精通した能力の高い人達の部門です。


 そのS君からのレポートをご紹介しましょう。

------------------------------------------------------

 その部門は大きく分けるとA・B・Cの3工程になってい
ます。

  まずA工程は素材を切り、(作業1)、色を整えてから
(作業2)、材料に加工。材料にした時点でB工程に渡します。

 B工程では材料の形を整えてC工程に渡します。C工程では
材料を機械にかけて最終的なアウトプットして作業完了とい
う具合になっています。

 これまでのA工程での作業方法は、作業1と作業2が全て
完了したらB工程に材料を渡していました。その材料の数は
物件により異なり、数点のものから二百点くらいのものまで
様々です。

 その部門で三名のうち一名が産休にはいったのだそうです。
三名でも目一杯の仕事量だったのが、一名欠けるわけですか
ら、S君は困りました。専門的な仕事だけに人員増も望めま
せん。そこで、S君がやったことは、これまでA工程が作業1
と作業2の全てが完了してからB工程に渡していた材料を、
業1を完了した時点で材料をB工程に渡してしまおうという
ことでした。

B工程の形を整える作業はA工程の作業2が完了していなく
てもそれほど支障のない作業だったのだそうです。こうして作
業2とB工程の作業を同時進行させることで、一名減なのに3
時間の時間短縮が実現したのだそうです。

 作業2で色を整えた材料はB工程がC工程に材料を渡す時に
差し替えが可能であったことも幸いしましたが見事なフローだ
なと聞いていてゾクゾクしました。


---------------------------------------------------------
 S君が行ったことは、A、B、C工程の仕事を直列に並べる
のではなく、「一個渡し」の並列スタイルに変えたということ
です。

A工程が2時間、B工程が3時間、C工程が1時間であれば、
これまでは2+3+1=6時間となりますが、S君はA工程で
より小さい単位で終了したら、すぐに次の工程に渡したので、
リードタイムが短くなったわけです。これを図に表すと、

A===B====C===

であったのが、

A===
  B==== ←3時間短縮→
    C===

 というようにリードタイムが短くなり、その結果、三時間の
時間短縮、生産性の向上が実現できた。しかもこれがコンピュ
ータ関係の仕事であるということが、じつに興味深い点である。

 従来はコンピュータのスピード、容量、ソフトなどによって
生産性を高めようとする傾向が強いが、それはご存知のように
なかなかすぐに結果としては現れないのではないだろうか。

 それが今回の時間短縮は、それらハード、ソフトではなく一
銭もかからない、「仕事の仕組みを変えた」ことによる改善の
結果だということだ。

 H社では、このようにわずか一ヶ月で大幅な改善の成果が出
はじめている。部門においては二番目の成功事例だ。この事例
に他の部門も刺激を受けないはずはない。次々と自分たちの仕
事を分析して、TOC理論にもとづいたリードタイムの短縮に
チャレンジする声があがってきている。

■さらなる企業革命

 このS君の事例を聞いて喜んだのが営業マン達だ。なぜなら、
より点数の多い物件でも安心して受注できるから。しかもリー
ドタイム短縮は顧客に納期を言えるようになる。

 また、現在でも三時間短縮なのに、もし産休中の社員が復帰
してきたならば能力は倍増する。これはワクワクするだろう。

さて、いまS君には「時間計測」をお願いしている。一点あた
りの作業時間の計測で、これができれば何百点あっても、おおよ
その完了日が算出できる。この標準時間の計測と算出は製造業に
とっては重要な点である反面、これまでうまく算出された例は少
ない。いつも失敗する製造原価計算の時間計測に社員は嫌気をさ
して適当な数字で妥協するか、デザイン等のクリエイティブ部門
に至っては時間計測を非人間的なものと蔑視する傾向さえある。

 しかしH社ではデザイン、企画部門もTOC効果に触発されて、
例えば会社案内ならば、これこれの作業があり、それぞれ何時間
かかるのでトータルでは何日後に納品できますという発表も出て
きた。

 これも革命的なことだ。さて、今回の成功事例、また前月号の
K社の事例をみても、共通することがある。それは、Kさん、S
君ともに本当に困ったと悩みぬいた者は、TOC導入で成功する
可能性が高い。本気になって取り組んだ者だけが栄冠を手にする
ことができるようだ。


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