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■仕事の効率的なすすめ方

                    2004年7月20日
                   ソフトパワー研究所
                   所長  清水 信博
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■ある相談

 TOC(制約理論)導入を積極的にすすめている企業の方から
相談を受けました。

 その会社では営業周辺の事務作業は女性中心で行っているの
ですが、ときどき営業マンからコピーや探し物、突発的な作業
を依頼されるのだそうです。このため、仕事を一旦中断して依
頼された作業をやるわけですが、そうすると本来やるべき仕事
が遅れて困っているという相談でした。たぶん、皆さんの会社
でもそういったことはあると思います。

■集中する。掛け持ちしない。

 仕事は二股をかけないのが正解です。よくある誤解は、いち
度に複数の仕事をこなすのが有能な社員であるというものです。

 聖徳太子のように7人から同時に話を聞いて、全てに答える
というのは我ら凡人には不可能であり、他人にも決して求めて
はいけないことなのです。

 また仕事の掛け持ちは、ひとつの仕事から次の仕事に取り掛
かる際の頭の切り替え、準備時間が多くかかるためにリードタ
イムは長くなり、品質にも悪影響を及ぼします。

 私の事務所でも事務員さんが集中して仕事をしているときに、
私が余計なことを話せばミスが出ます。集中すべきときには集
中させてあげたほうがミスは出ないものです。

■解決方法

 それでは先ほどの例はどのように解決したらよいでしょう。
 事務作業をやっている女性たちの集中を妨げるようなコピー
や探し物はできるだけ排除することが、仕事の成果を上げるこ
とになります。そうはいうものの、コピーや探し物、特急の仕
事などをしないというのでは、これもまた困ることでしょう。

 まず最初に大前提を置きましょう。人間が集中できる時間は、
いったいどのくらいだろうかということです。私の経験からい
うと1時間ももてば良いほうじゃないでしょうか。たぶん45
分くらいでいいと思います。

 ですから、45分集中したら気分転換をするなり、休憩をと
って、それからまた集中するという具合に、インターバルをと
ると、集中を継続することができると思います。

 つまり、45分間は彼女達の「やるべき仕事」に集中し、そ
の間コピーや探しものの依頼書はリーダーの机の上の箱に入れ
ておいてもらいます。こうして45分経ったら、今度は依頼書
の束を解決する時間です。

 ただし、TOC理論でいうところの、ボトルネック(制約資
源)となる仕事だけは、もう10分はやり続けてもらいます。
ここは止めたらアウト。最もアウトプットが低い工程ですから
頑張ってあと10分は仕事を続けます。また、1日8時間集中
せよというのは非人間的、実際的ではないので55分経ったら
全員が休憩時間をとります。

 さらに定期的にボトルネックの仕事は彼女達の話し合いで交
代するのがいいでしょう。そうすれば誰もが全ての仕事をこな
すことができますし、コミュニケーションも良くなるからです。

 では、45分も待てないという急ぎの作業が出たらどうする
か。ここは上司が登場する場面です。成果を期待されている上
司は、ここが支援の手を差しのべる絶好のタイミングです。
 彼女達の仕事を中断することなく、上司がコピーをとってあ
げればよいのです。

 それでもダメというような急事態の場合にはラインを止める
しかないでしょう。しかし、その場合でもボトルネックは止め
ないことです。理由はそこが最も生産量が低い致命的な工程だ
からです。

 以上のように、彼女達が集中して仕事に取り組めるような
「仕組み」をつくれば、仕事の生産性が上がることは間違いあ
りません。副産物としてモチベーションも上がることになりま
す。これは病院の看護婦の不満をみれば分かります。看護とい
う仕事を目指して病院に入ったにもかかわらず、カルテ書き、
ベッドメイキングなど看護とは違う仕事を多くすれば看護婦は
辞めていきます。一方、仕事はきつくとも、看護本来の仕事で
あり、高い能力を要求されるものについては、やる気を感じる
ものです。

■しかし、それだけではダメ

 45分ルールを作り、集中の邪魔をしない工夫もしました。
 突発的な対応もできました。成果も上がると予想されます。
 しかし、それだけではダメです。

 この決め事を常に守るようにしなければなりません。明文化
するか、その明文化したものを机の財産にせずに壁に貼るか、
もしくは全社朝礼で社長の口から言わせるか。しかしこのいず
れもが機能しないことは、私達は肌で知っています。

 あらゆる「良き意図」が思ったほど機能しないのは、それに
対応するツールが開発されていないからです。

 これを解決するひとつのアイデアとして、職場によくある
「壁掛け時計」を使います。この壁掛け時計の文字盤の周囲に
色をつけます。たとえば、針の12時(スタート)から9時
(45分)までの外側に赤い色の帯をつけます。これは紙に色
づけしてもいいし、赤いビニールテープを貼ってもいいでしょ
う。

 次に9時から11時の部分には緑色の帯をつけ、最後は11
時から12時の針の外側に青色の帯をつけます。

 こうして、時計を見れば誰もがわかるようにします。つまり
これは45分ごとに出港する定期連絡船の時刻表です。

 いいたいことは、日常業務の中に「仕組み」を組み込んでし
まうということです。だれが見ても一発でわかるのが正解です。
アレコレと職場ルールを思い出さなくても良いシンプルな方法
がマル。

■これから

 これらのことはやってみなければ分かりません。しかし孫子
の兵法の「戦う前に計算なきものは負ける」という言葉どおり
人心や理論、会計的にも効果があると算段を立てて事に臨めば
よいと思います。ダメならば、さらにそこから工夫を重ねれば
よいことだと思います。
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