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■福利厚生について考える

                                                                2000.0923


■儲かり過ぎた企業の悩み
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 10年ほどコンサルティングをしている会社がある。
 最初に行った頃は大した利益が出ているわけではなかった。それが今で
は同業他社の数倍の利益を上げるまでになった。

この会社は公共事業100%の企業だが、今では一年半先までの資金繰り
を見通せる。

 先日も公共事業を受注している経営者に聞いたが、一年半先までの資金
繰りが見とおせるという話は信じられないそうだ。どう頑張っても、せい
ぜい二ヶ月先までしか見通すことは不可能であるという。
 ではどうしてこの会社が一年半先まで見通せるようになったのか。
 その秘密は、徹底した[スケジュール管理]にある。

 通常、営業マンは確定物件の情報は流したがるが、未確定の物件につい
ての情報は流したがらない。単なるいい加減情報は内部を混乱させるだけ
だと、さらに隠す。これを改めて[A,B,Cのネタ管理]を徹底するのに
五年かかった。しかし五年かかっても完成したときには一年先の資金繰り
が見えてきた。つまり、スケジュール管理は意識改革でもあったわけだ。

 世の中のほとんどの企業もスケジュール管理をやっている。来年の会議
はいつ、休日は、という程度であればどこもやっているが、ここのように
スケジュール管理を戦略的に活用している会社となると、そうそうは見当
たらない。そして、このスケジュール管理が他社との大きな差別化になる
ということは、さらに知られてはいない。

 さて、このようにして儲かる会社になったが、儲かると税金の支払いも
大きくなる。日本は税率が高いので利益が出過ぎると企業は途端に苦しく
なってくる。

 儲かったのに資金繰りが狂うというのはおかしな話だが、この会社は数
年前にも巨額の利益が出たことが原因で二年間も資金繰りで悩んだ。

■税金対策から出た「瓢箪から駒」
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 今年の決算も巨額の利益が出てしまった。出てしまったというのも指名
で仕事が来るので断るわけにもいかず、当初の計画を上回る利益が出てし
まったのだ。

 そこで毎年のように税金対策を考えることになったが、減価償却物件も
そうはない。ムダな設備に投資したり、税金対策でリースを組むことも良
策ではない。となると特別賞与でということになるが、それも正しいこと
なのだろうか? ということで相談を受けた。

 もちろん特別賞与は支給する。しかしその額が必要以上に多額になるこ
とは果たして本人のためになるのか?。バブル期と同じことになるのでは
ないか?といろいろ話し合った。

 そこで、今だけでなく、社員が退職するときまでのロングスパンで考え
てみようということになった。そしていくつかの案が出たので書き出して
みよう。

 一つは、特別賞与について、社員は一部を会社に貸し付けて市場金利よ
り高い利息を会社が払おう。
 二つ目は、中退協等の退職掛け金を能力に応じて増額しよう。
 三つ目は、社員が災害、死亡時の遺族のための保険金も考慮しよう。
 四つ目は、特別有能な人材を採用しよう。

 ということになった。

 つまり、一時の特別賞与として払っても、それは全額生活費に消えてし
まいかねないので、財形貯蓄のように企業がキチンと退職後、老後等に備
えて資金を確保しておこうということで社員と合意した。

 この過程を通じて、私は企業の福利厚生費のあり方について考えさせら
れた。いまはなくなったが、高価な会員権を買うことが福利厚生だと考え
られていた時代があった。結局それは誰も使わなかったが。

 新しい時代の福利厚生は、人間の寿命が伸びただけに、退職時、老後、
そして、何が起こるか分からないリスクに対しても考慮しなければならな
くなった。本来、どのようにしたら社員が、安心して、そして企業への帰
属意識を高め、能力を最大限発揮してもらえるかが福利厚生の持つ意味だ
と思う。その本来の意味合いに戻ろうというわけだ。

 福利厚生費の額は多ければいいのか。そうはいえないと思う。ここでも
内容、質が重要になってくる。つまり社員の側からみた質の問題になる。
 だから、額は企業によって変わるが、低い額でもいいと思う。

 むしろ、そのようなことにまで頭を使って対処している会社なのか、相
変わらず享楽だけの福利厚生で社員を動機づけしようとしているのか、そ
の差は大きい。そして社員はそのことを何気なくかもしれないが、よく見
ている。経営者の思想を判断する。

■結論
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 さて、その会社はどうするだろうか。
 そして、社員の反応はどうなるだろうか?

 それは、未来に分かってくる。

 未来は分からない。しかし分からなくとも、様々な角度から考えて、最
終的に決断を下すのが経営者だ。失敗だと気づいたら改めればよい。

 この文章を書いていて想うことは、「このように考えて決断する経営者
であるか、単なる節税相談で終わるのか」の差は大きいと感じた。

 経営者も日々の意思決定の積み重ねで自分を育成している。
 そして、その積み重ねが、いずれは経営者の確固たる経営理念として内
外に大きな影響力を及ぼしていく。今回のことは、その一歩につながるこ
とかもしれないと感じた。■

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