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■リスク

   2000.0830


■慣れが怖い。

 いま公共事業関係は揺れに揺れてるらしい。

 某社での話によると、来年は見通しが立っているが、再来年は全く見通しが
立っていないとか。官僚OBを大勢抱える大手企業でもそのように言ってるそ
うだ。

 一方、この9月で決算をむかえる企業に倒産の噂が流れている。ほんの十年
ほど前ならば、倒産で負債1億というと驚いたのが、最近では1兆円でも、あ
まり驚かなくなった。これは慣れだろう。しかし倒産させる側(?)も、1兆
円くらいでも平気で倒産させる。新潟県長岡市で大手土建会社が倒産したとき
に金融関係は、もう一方の手には三条の住宅販売会社を抱えて、どちらを先に
処分するかでもめていた。結局、時間差はあっても両方が倒産した。

 そして、先日の「そごう」の倒産。私達は金額にあまり驚かなくなったと同
時に、どこが倒産しても不思議ではないと、これも感覚が慣れてしまっている。

 この「慣れ」という感覚は怖いと思う。

■経営者の意思決定

 さて、某社での話だが、その会社でもご多分に漏れず二年後のマーケットが
縮小するだろうと経営者は語っていた。一方、企業の力をつけるためには、新
規採用をしなければならないとも言っていた。PQ減少するのが分かっていて、
Fが増加するのが分かっていて、それでも決断しなければならない。

 まさに経営者の意思決定は、相反する問題を解くようなものだ。

 市場が縮小するといっても、MGでいうと1卓6人でやっていたものが、2
人になれば儲かる。時間が30分になろうと儲かるだろう。
 一方、数年後に市場拡大が起こるかもしれない、また市場が無くなるかもし
れない。他業種に転換せざるをえないかもしれない。じつに様々なことが考え
られる。未来ほど分からないものはない。当たらないものもない。

 しかし、経営者は、その未知なるものに対して備えておかなければならない。

■時間の問題は、時間で解決する

 様々な話し合いの中、私もその業界のプロではないが、経営者という立場か
らアドバイスをしなければならないので、人件費の増加と仕事ということで意
見を言った。

 とくに同席した税理士が就業規則の説明をしたものだから、労働基準法につ
いて話題が集中したわけだが、現在の労働基準法は数十年も前のブルーカラー
保護色が強く、「時間」に関して述べている個所ばかりである。個人の能力だ
とか、性格、その他については規定することも不可能な反面、一面的なことし
か述べてない。これもいずれは変わっていくかもしれないが、企業はそれを待
っているわけにもいかない。もちろん法を守ることは大事だが。

 いま言ったように、労働基準法は「時間」しか述べていないわけだが、それ
を逆手にとって「時間」を企業経営に活かしたらどうか、というのが私の提案
だった。

■仕事を見なおす、人を活かす、成果を上げる

 いま、「仕事の内容」と「個人の能力」は激変している。数年前は正社員で
なければという仕事内容を分解してみると、アルバイトでも可能な仕事が本当
に多いことに気づく。モノを持ったり、運んだりというのは誰がやってもよい。

 しかもコンピュータが低価格になったということは、アルバイトがコンピュ
ータ操作をしても良いということだ。パソコンの画面に単価、数量を打ち込む
仕事は誰でもできる。誰がやってもよい。

 第一に、よくよく見てみると、仕事の分解、分析、廃棄、再構築をしなけれ
ばならないことになってきた。これが最初の重要なポイントで、これがリスト
ラの本意だと思う。首切りはリストラのほんの一部のことに過ぎない。

 第二に、個人の強みを存分に発揮させるために、どの仕事でなら強みを発揮
できるのかという人事の問題が出てくるだろう。ここでも集中化、絞込みが大
切になってくる。専門化といってもいいだろう。

 このようにしたならば、誰がやってもよい仕事はどうするのか、となるが、
それはパート、アルバイト、アウトソーシングや、他にもいろいろ考えられる。
これらは、人件費の変動費化、もしくは流動化といってもよい。

 ここで、「時間」というのが出てくる。それらの人は、まさに時間で、すで
に誰がやっても良いという仕事をこなしてもらう。正社員のような責任はない。
これは、数十年前のパートとして発足した頃の考え方と同じことだ。

 そして、それは冷徹かというとそうでもない。モチベーションが低下するか
というとそうでもない。モチベーションとはイコールでもない。その証拠に、
たとえ密接にコミニュケーションをとったとしても不満で辞める人がいる。
 無関係とはいわないが、イコールでもない。

 第三は、スケジュール管理によって年間の受注・生産・出荷ができるかどう
かだ。これがないとパート化しても採用される側は不安になる。明日は来なく
てもいいと言われると困ってしまう。しかし、「来年の2~6月は来てほしい
が、9、10月は来なくてよい」と言われれば、9、10月は別の仕事を一年
前から手当てするだろう。このようにスケジュール管理ができる会社は、人件
費の流動化に成功する。

 失敗する会社は、来月すら見えないためにリスクに備えて常用パートを採用
して人件費が膨れ上がってしまっている。しかも仕事がなくてブラブラしてい
れば必ずモチベーションは低下する。モラルも低下する。そしてFは上がる。

 いくつかの提案をしたわけだが、この会社なら私はできると思う。なぜなら
公共事業の仕事をしながら、2001年、つまり来年の年末までの仕事の受注
予測と資金繰りをやってる会社だから。同業他社は、一ヶ月先ですら受注も資
金繰りも見えないという中、この会社は10年という歳月をかけて社員が情報
を集め、「見えない将来を見えるように」してきたから。

 そして、この社員教育、社員の努力、意識改革というものが、これからの事
業リスクを越える「強み」になっていると感じるからである。

 しかし、その会社の社員は、それが強みであるとは感じていない。
 ましてや、他社はそのことへの取り組みすらしていない。

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