■新製品開発・仕組みづくり
2004年9月9日
ソフトパワー研究所
所長 清水 信博
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■ファイルブックの開発
十数年前、セミナー資料を綴じておくファイルブックでいいものが
なかなか見つからないので、それでは自作で作ってみようということ
になりました。
それまでのファイルブックで気に入らない点は二つあって、ひとつ
は、クリアファイル、インデックスが表紙から飛び出てしまうことで
した。
ご存知のように、ファイルブックには留め金がついています。この
留め金にも数種類あって、私がいいと思ったのは二つ穴タイプでした。
まずシンプルなのが良い点なのですが、資料をパンチして留め金に
入れて綴じるのはいいとしても、クリアファイルのように資料を放り
込む袋は、あらかじめ穴があいていて、それは便利な反面、留め金に
入れると、どうしても表紙からはみ出してしまいます。
このため、ファイルブックを保管すると、必ずといっていいほど飛
び出した部分が折れてしまう。見た目もよくありません。
また資料にインデックスを貼り付けると、これも表紙から飛び出し
て折れてしまいます。ファイルブックに資料を綴じたときに、こうい
った経験をした方は多いのではないでしょうか。
○改良した点
1、表紙サイズの改良
クリアファイルやインデックスが飛び出してしまう欠点を補うには
表紙サイズを2センチほど大きくしてやればいい。そこでメーカーに
問い合わせて既存の表紙を2センチ大きくできないかと問い合わせし
たところ可能であるというので、この点は問題ありませんでした。
2、留め具について
ファイルブックの留め金はかなりの力を入れなければ開かないタイ
プも多く、女性で指を挟む人も多かったようです。そこで女性でも親
指と人差し指で簡単に開閉ができる留め具はないかと探してみたとこ
ろ、某文具メーカーのものがみつかりました。それはプラスチック製
で、ほんの少しの力で開閉ができるタイプのものでした。
3、表紙素材
表紙の素材があまり薄手の場合、立てかけておくとどうしても歪ん
でしまいます。だからといって厚手すぎればコストがかかるし、重く
なりすぎます。プラスチックやビニールでもいいようですが、印刷屋
出身なので厚手の紙にしました。
4、色
表紙の色は四種類くらいの、できればイタリアンカラーに近い鮮や
かなものにしたかったので、これもメーカーに依頼。
○ファイルブックの完成
こうして4色のファイルブックが完成しました。サイズを大きくし
た点と留め具で工夫しただけのものですが、いまでも使いやすいと評
判で、パンチした資料と、クリアファイル、インデックスが共存する
ものとして活用されています。もう十数年経っているのに、市場をみ
ると、まだこのようなファイルブックは出ていないようです。
■メモ・伝言
これも私の発案で、N県の某商工会議所で活用されている話です。
担当者不在時、机にメモを置くのは誰もがやっています。風に飛ば
されないようにテープで貼り付けておくこともあれば、現代風にポス
トイットを貼っておく場合もあります。
ところが、これをやられると、机の上がメモだらけになるし、時系
列になっていないものだから、じつに困るし、美的でもありません。
そこで、喫茶店などでよく伝票を刺しておく「状差し」を買ってきて、
これにメモを刺しておきようにしたところ、机の上がじつに綺麗にな
りました。しかも、刺してあるメモを全部抜いて裏返すと時系列にキ
チンと並ぶので、通常はその順番で処理をしていけばいいということ
になります。
ここでも、もうひとつ工夫が必要で、メモを状差しに刺すときに、
やはり力がいるのです。下手をすれば手を傷めるので、メモ用紙の左
上にはあらかじめ穴をあけておけば、スッと入れることができます。
しかもメモ用紙には簡単な印刷をして、5W2Hの記入を促すよう
にしておけば、漏れはありません。いつ、どこで、誰が、何をという
ように記入する欄を作っておけば便利です。他にも記入効率を良くす
るための工夫があってもいいと思います。またサイズにも工夫が必要
で、あまり大きいのは美的でないし、あまり小さすぎても記入に支障
をきたすので、このあたりもデザイン的に配慮が必要だと思います。
こうして私の会社では営業はじめ全員の机に状差しをおいて、メモ
や伝言があれば、そこに刺すようにしたところ、じつに連絡がうまく
いくようになりました。しかも机の上が綺麗なので気分も良くなりま
した。
これらの新製品や仕組み作りは、たいしたことではありません。そ
れよりもふと目にしたことが、うまくいっていないとか、美的でない
ことに気づいて、これをなんとかしてやろうと思う気持ちが大事だと
思います。
昔からこのようにしているとか、なんら問題ではないと思う気持ち
が創意工夫の芽を摘んでいます。なにも大それた研究開発をやれとい
っているのではなくて、普段のちょっとした出来事に疑問を感じる連
続が研究開発へと繋がっていくのではないでしょうか。
そういえば、パソコンが出始めの頃にドットインパクトプリンター
の騒音がひどくて、これを解消するために高価な市販品を買わずに、
自作の安価なダンボールケースを作って経済新聞に掲載されたことが
ありました。
このときは、特許をとらなかったために他社が製品化しましたが、
これなども「騒音が大きくても仕方がない」というあきらめ感を何と
かしたいという気持ちからのことだったように思います。
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