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■顧客主義

                              2000.0622

■顧客第一主義

 顧客第一主義という言葉が流行っていて、猫も杓子も、「顧客第一主義」
を唱えているが、果たして本当にそうなのだろうか。

 十年ほど前の経営会議で、
「たとえ経営会議であろうと、お客様から電話がかかったら、すぐに出な
さい」と言いました。

 しばらくして会議に参加していたいた税理士さんが、
「清水さん、会議の時くらい会議に集中して、電話には出さないほうが良
いですよ」と助言をしてくれた。

 でも、私はこれは違うと思ったので、「いいえ、会議であろうとお客様
は困って電話をかけてくるのだから、すぐに電話にでるのは当たり前の事
です。もし必要ならば、出かけていくのも構わない。詳しくは後ほど本人
に報告しておきます」と反論をしました。

 お客様が電話をかけてくるというのは、99.9%は、困っているからこそ、
電話をかけてくるのであって、しかも急いで何とかしてほしいという事が
ほとんどです。

 一方、経営会議であろうと何だろうと、それはこちらの都合でやってい
るのであって、お客様には無関係なことです。会議ができるのも、お客様
があってのこと。

              ◆

 よく、電話をかけると「ただいま、会議中ですので・・」と返事をする
会社がある。もしくは、「ただいま外出中で・」と無言になる場合もある
が、ともにダメ会社を標榜しているようなものだ。

 いずれも、何の対処もしないということを暗に言ってるにしか過ぎない。
だから、お客様は不満を持ってしまう。顧客不満足を続々と産み出してい
ることになる。

 当社では、パートさんにも、電話応対の時には必ず、「お困りでしたら、
本人に連絡をさせます」と返事をして、スピーディな対応をするように言
ってある。
 もし、これが守られていないようなら、私に教えてください。(^^;)
 再教育の必要がありますので・・・。

              ◆

 つまり、会社の額に「顧客第一主義」と立派な書を掲げようとも、朝礼
でやかましく訓示しようとも、行動さえ見れば、それが守られているかど
うかが分かってしまう。

 ある店主が仕入先の同級生に電話をしたところ、やはり会議中だから、
後にしてくれと言われて、それきり取引をやめたと憤慨して話していた。
 その仕入先がまた、「顧客第一主義」を標榜していただけに、なおさら
激怒してしまった。
 結局、こういう会社は、羊の仮面をかぶった狼かもしれない。

 その責任は誰にあるのか?。答えは、もちろん「経営者」にある。

 正しい教育を行なっていないことが、企業に招かなくともよいリスクを
招いてしまったという事例だ。頭を45度に下げて挨拶せよ、などという
形式ばかりやっている場合ではない。

 世の中は、コンテンツ、コンテンツと騒いでいるが、経営者は、本当に
「中身」をよくよく考えていかなければならない。

■Pには「二つ」ある

 顧客を大事にすることも、尽くすことも正しい。

 一方、徹底的に顧客に尽くすならば、一つ目のP、「プライス」は安
易な安売りをするのはどうかと思う。安売りが戦略ならば、それもいい
だろう。しかし、付加価値は減少する。

 私は、社員に口を酸っぱくして、「Pを安易に下げてはいけない」と教
えてきた。「戸惑い」や「それでは勝てない」という意見も無視して、P
については厳しく監視してきた。
 もしも、勝手にPを下げるならば減俸、降格も強行しただろう。
 最も幸いなことに、それは実現しなかったが。

 値引きは習慣になる。

 競争相手と、こちらの武器が同じで、頭も同じならば値引き競争になる。
 値引き競争は、相手と同条件の時に最も安易な策として登場してくる。
 それは、誰でもできるからだ。
 頭を使ったことにはならない。

 また、もう一つのPは何か。
 もう一つのPは、「プライド」。

 これは、社員のモチベーション(やる気)にも繋がる。
 自分が顧客に尽くした成果が、安売りであっては社員のモチベーション
は上がらない。自分の仕事を安く売るようであってはならない。

 私達はこういうことを経験している。
 事務機などの例でいうと、叩きに叩かれて値引きしたお客様の所へは、
営業はあまり足を向けないものである。ところが、間違って定価で買って
くれたお客様の所へは、「申し訳ない」と思うせいか、「いかがですか。
問題はありませんか?」と足しげく通ったりする。

 だから、本当に頭の良い経営者は、逆さに振っても血も出ないような値
引きは強要しない。むしろ、アフターまで万全にさせるよう、売り手に緊
張感さえ与えた契約をする。こういう経営者が一番恐い。(^^;)

 これからの時代は、頭を使う時代だと言われている。
 それは社員全員が、もっと、徹底的に「考え」、「行動」し、
「さらに工夫」する教育を行なっていく時代ではないだろうか。

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