■LP(線形計画法:Liner Programing) について考える
2004年12月24日
ソフトパワー研究所
所長 清水 信博
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■MGをやった人なら理解できる、初歩のLP
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これはLP(Linear Programming:線形計画法)の初級コースです。
■LP(線形計画法)について
つぎのマイツールの表をまずはコピーしてください。
次に、SIMドンとやって、6ドン(行番号)、7ドン(列番号)を入力。
Qの列(7列目)に適当な数字を入れてドンとやってみてください。
ただし仙台、福岡、札幌のマーケットボリュームは決まっていますから、
それ以上の販売はできません。
では、MQが最大になるようなQはどんな組み合わせでしょうか?
というのがこの問題です。
[MQ会計2説明用資料//178] 04.08.27 混 L=0055 C=0170
F=4,5,5,5,1,4,5,4,1,5,5,5,5,5,7,5
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商品 P V M | MIN Q MAX| PQ VQ MQH HQ 総時間 M/H
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仙台 40 14 26 | 1≦ ≦ 3| 7
福岡 32 14 18 | 1≦ ≦ 6| 6
大阪 26 14 12 | 1≦ ≦13| 5
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合計 | | ≦80
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前回 | |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
L10=L12:
C2-C3=C4,6-8:
C2*C7=C10,6-8:
C3*C7=C11,6-8:
C10-C11=C12,6-8:
C7*C13=C14,6-8:DR:1::C12/C14=C16:DR:0::
L6+L8=/L10:
■全てのQ最大がMQ最大
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仙台に3個、福岡に6個、大阪に13個売れば、MQは最大になります。
これが正解。
誰もがこうしたいわけです。
これを「目的」といいます。
■時間の制約条件
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ただし、一個つくるのに、仙台の製品は7分もかかり、福岡は6分、大阪は5分と
短時間で製造することができます。
もし、仙台を3個つくると、3×7=21分(HQ)かかります。
ところが、この会社は80分が定時間で、それを1分でも越えると残業代を払わ
なければなりません。それは嫌だというわけです。
では、80分という与えられた時間の中で、いかにMQを大きくできるだろうか
というのが次の問題です。
同じく、SIMドンで解いてみてください。
■トライ&エラー
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何回かSIMドンをやって解いた人も、やがてはHQが80に近づき、MQも
大きくなったことでしょう。
このように何回かトライしてMQ最大化を求めることも可能です。
でも時間がかかりすぎて面倒です。
■そこで簡単な解法
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簡単な解法をご説明します。
まずは仙台のMをHで割って、M/Hを出します。
次に福岡、大阪も出しておきます。
そうすると仙台が3.7、福岡3.0、大阪2.4となります。
これは1分あたりのMです。
目的関数であるMQを最大にしたいのですが、80分という制約条件がある
わけなので、「与えられた条件の中で最大の効果」というのは1分あたりで
最も儲けの大きいものを選べばいいわけです。
ですからまず仙台をフル生産、フル販売します。
次にまだ時間の余裕があるので、福岡をフル生産、フル販売します。
最後に残った時間で、大阪を生産、販売すればMQは最大となります。
■よくある間違い
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よく起こる間違いは、
(1)1個あたりの「M」の大きさで判断すること。
(2)製品のm率で判断してしまうこと。
(3)制約条件を無視して、製品のMQ総額のみで判断してしまうこと。
製品のPQで判断するのが間違いだというのは、MGをやれば理解できますが、
Mやm率、MQでも間違いが起こる可能性はあります。
大事なことは、私達は常に「制約条件」に囲まれて仕事をしているということ
を正しく理解することです。
一日は8時間(残業をフルにしても24時間)しか持っていませんし、売場
面積だって無制限に広げることはできません。資金にも限りがあれば、市場
が小さくなっている場合だってあります。
なぜ、MGで材料は100個なのか? 東京は20個で打ち止めなのか?
これはすべて「制約条件」です。無制限にすれば即非現実的になります。
これは人間の寿命もそうで、火の鳥じゃないけど、人間はいつか死ぬという
ことは誰もが逃れることはできません。これも制約条件です。
※その与えられた条件の中で、私達はよい人生、目的を果たしていきたいわけ
です。
同様に、与えられた条件の中で、最小の努力で目的を達成するのがLPです。
■これがわかればOK
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お金さえあれば、人材さえいれば、マシンさえあれば・・・・・
これらは全て、制約条件さえなければ、もっとMQを大きくできると
言っているわけです。
1年が400日であれば、俺だってGは出せるというのと同じことです。
それが残念なことに、全員が1年は365日なんですね。
その誰もが同じ365日という時間を使って、どうMQを最大化するか?
ここに頭を絞るのが戦略マンです。
その際に、貴重な時間を価値あるものにしたいわけです。
それがM/H(時間当たり付加価値)という考え方です。
社員の汗の一滴を「黄金の一滴」に変えるかどうかが企業繁栄の鍵と
いってもいいと思います。
■ゲーテの言葉
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いつかは目標に通じる道を、一歩一歩と進んでいくのは足りない。
一歩一歩が目標であり、
一歩そのものが価値あるものでなければならない。
(ゲーテとの対話)
この言葉を借りれば、一歩そのものとは「M/H」となります。
目標とはMQ最大化です。
M/H という一歩の価値を大切にしながら、頭をフル活用して
行動していけば、やがてはMQ最大化という山頂に到達することが
できるということです。
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