■意思決定のための会計システム
■マトリックス会計(MX会計)
6月はじめに開催されたMX会計&TOCセミナーで以前ご紹介した山形県の(株)ITS宇野社長がつくられたソフトを見ることができた。MX会計はマネジメントゲーム開発者である西研究所所長・西順一郎氏が昭和51年に実務で使える形でつくり、その後マイツールというソフトを使って全国のほんの一握りの戦略マンだけが恩恵を受けて儲かっていた。
しかし全国500万社ともいわれる企業のほとんどは、従来型の右左会計と分厚い決算書から数字を抜き書きしながら経営の結果と将来の計画づくりにあくせくしていたし、それはいまも変わりはないようです。
いまの会計を本音でいうと「よく分からない。重箱の隅をつつくことばかりだし、専門用語だらけで何をどう判断したらいいのだ」と答える経営者は多いのではないだろうか。
もちろん経営者が決算書を読めないことは問題だが、会計側にも責任はある。人間を突き放すような学問が優れたものであるとはいえない。現実に役立ってこそ実学といえるのであるから、もっとシンプルに、ダイレクトに情報の核を提供してくれるものを我々は欲しているのではないだろうか。
そうでなければ経営者は意思決定を下せないことになる。複雑な経営環境に対して複雑なシステムを用いたら困惑しか出てこない。複雑なものに対しては汎用性のあるシンプルなソリューションをというのが問題解決の鉄則である。
■企業が連続成長を遂げるための情報とは
経営を16年やった経験からいえば、我々にとって重要であるのは、
①経営活動によってキャッシュとしての付加価値を生み出したかどうかであり、
②投資(含む在庫等)は付加価値を生み出すことに対して適切なのか、
③固定費等は膨らみすぎていないのか、
④1から3までの事柄は現在だけでなく将来に渡ってもYESといえるのかが大事であった。
社会貢献や安全性を当然のこととしていえば、企業は付加価値と投資と時間軸という三つの大きなテーマに集約される。しかもその情報が瞬時に手に入ることが大事で、一ヶ月遅れでは全く役に立たない。
ちなみに超優良企業となったソフトバンクの孫社長はマネジメントゲームを学生時代九州にて体験し、その中の戦略MQ会計を使って、事業部別日次決算を画面で確認しながら陣頭指揮をとっているそうだ。毎日刻々と変化する経営アラーム情報を的確に掴み、手を打っていくことがいかに経営者にとって重要であるかが分かる。
では有益な核となる会計情報を瞬時に手に入れるためにはどうしたよいか。
それにはまず①日々発生するデータをその日のうちに正しく入力することが必要になる。しかしこれをキチンとやっている会社は少ない。大概伝票入力はまとめて月末にやる習慣がついているからだ。
次に、②経営の重要ポイント(少ない情報)を的確に示す。これも行われている会社は少ない。なぜなら経理的視野と経営的視野は異なるからだ。会計を知っているから優秀な経営になれるかというと一概にはいえない。
三番目は、③瞬時に計算、出力を行う優れた道具・ツールを持っていることである。道具は最後であって、ソロバンを使った時代でも三日で決算書が出ていた会社はあるからである。良い仕組みの上に良いツールをのせればうまくいくが、悪い仕組みにいくら良いツールをのせてもうまくはいかないことを私たちはよく経験している。
こうした下準備、底辺があってはじめて私たちは会計という怪しげなものを一刀両断できる。しかし、これらはあまりにも当たり前であり、シンプルだから事務担当者にすれば物足りないし、もっと情報があるといいたいだろうが、経営者は意思決定に対して情報が多いほど困る場合がある。
しかしときには細部も見たいという希望もある。それらに対応したのがMX会計であり、経営者向けの「大局観に立ち、ときには伝票の1枚までも顕微鏡で探っていけるソフト」を開発したのが最初に書いた宇野寛社長です。
(詳しい資料・問い合わせ等は、uno@its-mx.co.jpまでメールを)
■過去会計と未来会計
よく聞く複式簿記の原点は、15世紀の北イタリアのベネチアでルカパチオリが集大成したといわれています。当時は、マイナスという概念がなかったために、複式簿記はあのように右左に数値を書いて合計が合えばマルということをやっていました。ですから素人が簿記の貸方・借方を見て変に感じるのは当たり前といってもいいのです。
かの有名なゲーテも会計とはよくできたものだと絶賛したそうです。しかし現代は当時とは比較にならないほど複雑さを増しています。毎日が意思決定の連続です。こうした時代には「スピードと精度と意思決定に役立つ情報提供」が経営者にとってのタイトロープになります。
MX会計は、行列簿記ともいわれ、従来の右左会計(1次元)を縦横の2次元にしたことで、数十枚にもなる決算書をわずかB4・1枚手のひらで企業の全体を見ることができます。またITSのソフトでは、マトリックス上のデータが気になった時点で、そのセルをクリックすると仕訳伝票まで見ることができるようになりました。
まさにミクロからマクロへ、またマクロからミクロへと自由自在に情報のネットサーフィンが可能になりました。これにより経理上の間違いや、問題点の把握、不正防止などが早い段階で可能になります。
じつはMX会計ソフトを導入した某企業で経営会議の席上社長が「この数値は何だ」と質問したところ、即伝票データが画面にズラッと現れて、一瞬のうちに経理の間違いが発覚したことがあります。もしMX会計でなかったならば、こうしたミスに気づかず、後日大幅な修正を余儀なくされていたでしょう。
このように瞬時に情報を手にして、経営判断を行っているこの企業は、特定構造不況業種とされている中、経常利益率5%をキープしています。
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