■なぜバランスはとれないのか?
これもバイアブルビジョンに書いてありますが、TOCのゲームを
やった方の為に再度、考えてみたいと思います。
分かりやすくTOCのダイスゲームで喩えます。工程は5個にしましょう。
①→②→③→④→⑤
全ての工程のバランスがとれているということは、各工程の生産能力が1時間に平均6個ということです。もちろん完全に6個ではありません。理由はいろんなトラブルが発生するから4個の時もあれば8個できる時もあります。機械故障ならばゼロ個です。
6 6 6 6 6
①→②→③→④→⑤
さて、ここで3番目の工程が、1時間STOPしたとしましょうか。すると次工程の第4工程は次にやるべき仕事がゼロになります。
★
6 6 6 6 6
①→②→③→④→⑤
6 6 0 6 6 (機械故障により第3工程STOP)
6 6 6 0 6 (その1時間後はどうなるか?)
ということで、工場長は、各工程の前に仕掛品を置けば前工程がSTOPしても、仕掛在庫を加工していればいいじゃないかと考えます。そこで次の図になるわけです。
6 6 6 6 6
①→■②→■③→■④→■⑤ (■は6個の仕掛在庫=セーフティ余裕)
これで前工程が止まっても。仕掛品在庫があるのでトラブルを回避することができるようになり、工場長は安心しました。
ところが「リスク」は思ったように来てくれないので、第3工程にトラブルが連続発生してしまいました。分かりやすくいうと2時間停止したわけです。するとどうなるでしょうか?
★
6 6 6 6 6
①→■②→■③→■④→■⑤ (■は6個の仕掛在庫=セーフティ余裕)
6 ■6 ■0 ■6 ■6
6 ■6 ■0 6 ■6
6 ■6 ■6 0 6
となり、第4工程のセーフティは食い破られるわけです。
そして、その後が問題です!(ここが重要)第4工程の前にあったはずのセーフティが、いまや全く無くなってしまっていることがわかります。
こうなると最初に戻りますから、再度リスクが襲ってきたときに第4工程は完全に止まってしまい、やはり完成品はできないことになります。(=MQゼロ)
では、その無くなったセーフティを取り戻すためにはどうしたよいのかといえば、この図でいうと、「第4工程以前の工程は、必ずより多くの生産能力を持っていなければならない」ということになります。
つまり1~3工程は平均6ではなく、平均12くらいの生産能力がなければ第4工程の前に「再び」セーフティーを築くことは不可能であるからです。
■だからTOC以前の部分最適化は在庫がたまる
もうお分かりだとだと思います。第4工程以外の工程の能力が倍以上あって、それが勝手にフル操業するとどうなるか?。答えは「在庫がたまる」です。
なぜ「企業はバランスがとれないのか?」の答えのひとつは、リスクの存在です。マーフィィともいいますが、思いがけずに訪れるトラブルです。これは必ず訪れます。誰も回避できません。
もうひとつは、そのリスクから企業を防護しようとセーフティ(余裕)を持たせたわけですが、食い破られた箇所は復旧のために、その他の能力を倍以上アップしておかなければならないということです。
ところが、倍以上能力を持たせた「その他の箇所」が、本気で能力を連日発揮したらどうなるか? それは第4工程(最も弱い工程)の前に大量在庫がたまるという現象を生んでしまいます。
■まとめ
企業をリスクから防護しようという考え方は間違ってはいないし、その行動は良かれと思って取り組んだことです。しかしながら全体最適化を見失うような組織構造、ルール、教育などで部分最適化に向かったことがアンバランスな組織を築くことになっていったわけです。
そして、ここ重要ですが、「私たちは、いまや第4工程がボトルネックであることすら見失っている」ということです。つまり探すことすらできないものになっている。様々なトラブル、複雑性の中に隠れてしまって誰も見出せない。だから企業内のボトルネックは何ですか?と質問したときに誰も即答ができないわけです。
ですから最初に重要なのは、第4工程がボトルネックであると真犯人を特定するところから始まるわけです。
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