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■印刷会社のTOC

■スペースの問題


 私のところでは8年ほど前から販売用の印刷物は、印刷会社と自分のところで在庫を分けて持っている。比率にすると7対3くらいだろうか。なにしろ事務所が狭いから大量の印刷物をいきなり持ってこられると足の踏み場もない。

 「預かり在庫」であっても発注と同時に支払いはするので、印刷会社としても不良在庫になる恐れはない。ただちょっとだけ場所借りをしているというわけだ。

 先日も担当者に「当社のような預かり在庫は他でもやってるのか」と尋ねてみたところ他は一切やってないという。こんなにいい仕組みはないと思っている私にとって、いったい印刷会社は何をやってるんだろうかと思った。

■印刷物は生鮮食品
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 印刷物というのはじつは生鮮食品であり、作った瞬間から陳腐化していく。そして多くはすぐ世の中から捨て去られる運命にあるといっていい。もちろん歴史的価値のあるものもあるがそれは少数である。

 さて生鮮食品だと考えると、印刷物をお客に提供した時点で鮮度は落ち、お客様が長時間持っていれば腐敗していくと思えばいい。では腐敗を防いでお客様がいつも新鮮なものを使うにはどうしたら良いかといえば、それは「回転率を上げる」ことである。

 お客様の回転率を上げるにはどうしたら良いかというと、「お客様に過剰在庫を持たせない」ということになる。つまり大量生産、大量納品をやめることだ。

 ということは大量という言葉を「必要」という言葉に置き換えなければならない。必要なときに、必要量を、希望する場所に、しかも変更は喜んで・・・というふうに変えていかなければ印刷はインターネットに完敗してしまう。ブログに置き換わってしまう。

 いまの印刷会社はお客様に高級なメロンを売り込もうとしている。しかしそれが腐ったメロンでは誰も買わない。高級なメロンも新鮮でなければならない。一方、食べもしない野菜を安価だからといって大量販売している。これも間違いである。やはり必要量を販売したほうがいい。しかも安価な野菜であっても新鮮でなければならない。

 ここで新鮮さとはスピードを意味している。スピードとは時間であり回転率であり、需要と供給とストックの問題で決まる。

 だからといって印刷のマシーンをハイスピードにするのは愚策である。それは印刷をする速度を高めるという「部分最適化」でしかない。それよりもトータルの回転率を上げたほうが会社は儲かる。需要に対してスピーディに供給し、必要最小限のストックで対応すればキャッシュフローは最大化していく。

■お客様が儲かるように
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 製造原価を下げてプライスも下げて競争力を増すとか、安価な印刷物で顧客満足度をとか、よりよい印刷物、デザイン性のある印刷云々というのは、じつはお客様はあまり重要度を感じていない。お客様は自分の商売に影響が出ればいいのである。印刷物によってお客様が1名でも多く来店してくれればいいし、注文の電話が昨年対比で増えればいいのである。

 たとえばスーパーに食品を納める会社で決定的なものは何だろうか。やはりそれは「味」ではないだろうか。味が一番で、梱包しているデザイン云々は二番目だと思う。

 食品関係ならば私たちはすぐに分かる。ところが印刷物となるとそれが分からない。

 なんかいいような、効いてるような、そうでもないような。でも止めたらQダウンするかもしれないから、なんとなく続けている・・・というのが本音ではないだろうか。

 インターネットが優れているのは、広告宣伝を出したら「そのホームページを見てくれた人が何人で、今月は、年間では」とか「ご注文を頂いた人は何人、PQはいくら」というのが瞬時に見ることができる点だ。つまり広告効果が即見える(評価可能)という点が素晴らしい。

 だからHPを作る側も本気になるし、依頼する側もダメならば文句を言えるようになっている。こうした「仕組み」がいまの印刷会社にはない。外部から突付いてくれるものがないために、まだ自らを磨き上げてはいない。はやくこのあたりに気づいて、顧客主体のマネジメントを進めていってもらいたいものである。

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