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■大企業の不祥事

▼不二家が賞味期限切れの原材料を使用したとマスコミが
連日報道している。

 過去にはY乳業があり、M菱も欠陥車で人災まで引き起
こしてしまい、業績を大きく下降させただけでなく社会的
信用も長期に渡って下落させてしまった。

 このような事件が起こるたびにマスコミは経営者責任を
問いつつ、企業倫理の欠如だと書き立てている。

▼このように書き立てると、あたかも全ての大企業経営者
は利益主義であり悪人のように見えるが、はたしてそうだ
ろうか。

 しかも工場や営業の責任者も悪いことを知りつつ容認し
ているかのごとく騒ぐが、では自分の知人、先輩、後輩や
親族が大企業に勤務しているとして、それらの人々はそれ
ほどの悪人なのだろうか。

 私はそうは思わない。大半の社員、経営者、幹部社員は
みな真面目に社会に貢献しようと働いているのではないか。

 しかし企業の不祥事がこれほど発生するのは、企業倫理
観、モラルの低下とは違ったところに「真の原因」がある
のではないだろうか。

 つまり、企業が不祥事を起してしまう根本的な問題点が
あって、それが悪いと知りつつ人間を悪事に誘っているの
ではないか。

▼金儲け

 企業の業績が悪化してくると、通常取り組むのは最も簡
単な「経費削減」である。もしくはリストラという名の首
切りが始まる。

 それでも業績悪化を止められなければ、すでに行ってい
る「原価低減活動」に拍車をかけてくる。

 私は現在の全部原価方式、配賦方式による原価低減は利
益と相関関係がないことを実証したが、ほとんどの製造業
ではこの全部原価方式を採用しているために、それだけで
すべての意思決定を行うミスをしている。

 それがために製造原価を下げることイコール利益拡大で
あるから機械の稼働率を高め、暇は悪であり、売れなくと
も生産をするという馬鹿げたことを日常的に行っている。

 このため不良在庫の山が築かれ、それらは賞味期限切れ
寸前には叩き売りされ、売れば消費者は買わないからさら
に不良在庫の山が大きくなってしまう。

▼安く買うことと利益の相関関係もない

 また仕入担当者は全社的利益の視点と言いつつも、日常
的にみているのは、「いかに安く仕入れるか」だけである。

 安く仕入れるためには大量仕入が前提となる。このため
、市場の需要とは無関係に大量の原材料を抱え込むことに
なっても不思議はない。

 過去に仕入れた在庫と、安いからといいつつ再び仕入れ
た原材料が交じり合い、賞味期限も分からずに工場投入さ
れることもあるだろう。

 不祥事を起した企業のほとんどが、賞味期限について、
どの程度の量で、どこで使用し、どの製品にと答えられな
いのは本当のことを言うと大問題になることもあるが、彼
らも実際のところは把握できないということもあるだろう。

▼間違った思想が全てを狂わす

 原因を人に求めないとするならば、その人間を悪事に導
くものは「間違った思想、こだわり等」であろう。

 ここでは原価低減と利益の間に相関関係があるとする考
えが、すべての人間の行動をコントロールして、その結果
市場が要求しない量まで仕入し、稼働率主義で生産し、そ
の製品をフランチャイズチェーンに押し込み、顧客に買わ
せていたということになるのではないか。

 私はこれを企業のエゴと捉えると、次々と不祥事を引き
起こす企業はなくならないと思う。エゴではなく単なる会
計上のトリックに振り回されているからだ。

 しかしこの全部原価計算という会計のトリックは、また
ABC会計などと形を変えて企業を苦しめている。
 全部原価計算は単に会計上の問題にとどまらずに、企業
の倫理にまで影響を及ぼしている。だからそれを信奉する
ことは大変危険なことであるといいたいのです。

 製造業は早くこの亡霊を殺して、直接原価法に乗り移り
しかも「稼働率」といった指標を改め、市場の要求に合致
した必要量を提供したり、生産者保護といった視点から安
く買うことだけを目標とせず真のマネジメントを志向して
もらいたいものである。

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