■GOAL
■組織は、ひとつのGOALを目指す
ひとつのGOALを目指す。
そのために経営者は方向性、宣言、理念などを示しているが、営業、生産、事務などといった各部分は、それぞれ別方向に鎖を引っ張っている。だから力学的にみて組織のパワーは同一方向に向けられていません。
たとえば、重い荷物をみんなで引っ張ろうとしてるのに、ある者は反対方向へと鎖を引っ張り、ある者はまた別方向に引っ張ろうとしている情景を思い浮かべて下さい。
きっと、それぞれの人たちは、その方向へ引くのが最も良いと思って引くんだと思います。
しかし、これでは重い荷物はちっとも動きません。
様々な改善や取り組み、設備投資、意識改革をしても企業が良くならない根本原因は、GOALに向かって全員が鎖を引くような意識改革がいまだ発見されていないからです。
しかし解決案を急ぐ前に、経営者・リーダーがひとつのGOALを示さなければなりません。それがすべての始まりだからです。
重い荷物の効率的な動かし方以前に「まず全体が向かっている先を示さなければなりません」。
そして、それは組織のリーダーしか言えないことです。
コンサルタントが異なったGOALを示せば、組織はふたつのGOALに向かい、やはり力を分散することになります。
「GOAL」は物理的にも「ひとつ」です。
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人はどのような形であろうと己の利益に向かって行動していきます。ある人は企業の最終利益に向かいますし、良い人生という利益に向かう人もいるでしょう。いずれにしてもそれらは全て己にとっての「よきもの」に向かいます。表現方法が異なっているだけの違いです。
この利益志向は、組織のGOAL意識を誘導することにも十分に使うことができます。
ようは、本人と組織にとって、WiN,WINの相互利益となるものであれば良いのですから。
さて、営業マンはMGをやっている者ですらやはり売上至上主義が抜けません。経理担当者は正確な決算書がGOALです。仕入れ担当者はいかに適切に安く購入するかが彼のGOALです。
STRAC図のPQやVQ,Fなどの各部分に貢献しているとの確信をもって日常業務を行っています。
それらの部分に力を注ぐことがGに結びついていると思って仕事をしている(分業化、事業部制など)のですが、それがGに直接結びつくことはありません。これがSTARCです。
PQを上げてもGアップになる保障はなく、原価低減もGアップにつながる保障もありません。Fダウンもそうです。
しかし現状は、堅く信じた過去からの教えを忠実に守るしかありません。それが各部門のGOALだと教え続けてこられたからです。
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GOALはどこだ?
結論からいえば、GOALはMGで毎回使用するMX会計表の右下の最終利益にしかありません。
たしかに現在、各部門はそこを見て貢献していると言うでしょう。
そして彼らの努力を否定はしません。
しかし最終利益が増加していない現実を見ていただきたいのです。
では、そのMX会計表の右下を意識するにはどのようにしたらいいのでしょうか?
MGをやることもそうですが、利益配分方法、ルールによってMX会計表の右下に全員の視点を持ってくるです。
■利益配分
ボーナスの配分(成果配分、利益分配)は、この意味でかなりの鍵を握っています。
山形のM社でGが7倍になろうとしているときに、私はいち早く「特別ボーナスを出しなさい」とアドバイスしました。
企業が良くなったときには、法外なボーナスを出すべきです。
それで社員は企業が良くなったと理解しますし、また次も頑張ろうという「やる気」も出ます。儲かったときに少しのボーナスではだめです。法外な額を出すことです。
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過去からの教えに従っている人たちの視点、方向を変えるのは容易なことではありません。
全員の視点を足元から、最終利益へと向けるためには、そこから発生する特別ボーナスという利益を出すことによって、目覚めさせていくしかありません。そうでなければ相変わらず組織は精神論や机上論で覆い尽くされたものになるでしょう。
MQ志向も、MQを上げたときに、自分にリターンがなければ本当に人は動かないものです。
そうでなければMQ志向は、管理者にとってただ都合の良い道具にしか過ぎません。営業マンの値引き癖を直すにはいいという意見は人間不信の表れでしかありません。
その意味でいうと、MQ志向のもう少し先をいかないと、真の理想的な組織運営はないと思います。