■Vアップは、Qアップ
普通の会社は、たいがいVダウン、コストダウンで利益を出そうとします。
ところがコストダウンと利益には、逆相関関係は無いということはTOCで明らかになりました。
真のコストダウンへのアプローチは、過去や現在ではなく、未来に向かってのことです。
放っておけばコストが上昇していくものを食い止める、コストコントロールという概念に変えなければなりません。
何事も因果関係ですから、現在を押さえれば未来は安定するはずです。逆に現在の悪因を放置すれば未来に悪果が生じることも当然のことです。
コストダウンの話に戻しましょう。
先日、K市の商工会議所で講演をしたときです。
参加者は飲食業の方々が多く、彼らの頭はコスト・コストで占められています。材料費と人件費の合計が売上の何割かということに縛られています。
そして逆算をするものですから、宿泊代が1万円の旅館であれば料理は3000円と決められています。
こうなると価格競争が始まって、8千円のPダウンの場合。
料理は2千4百円に下げなければならないと考えます。
これでは料理はお粗末だし、板前はやる気もなくします。
そしてお客はうまくもない料理にあきれるでしょう。
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そこで、ここで原価率という概念を取り去ってみたらどうでしょう。そもそも原価率何%というのは名のあるコンサルタントが唱えたことを皆がこぞって勉強したからです。
その考えに縛られて、自由度が効かなくなっているのです。
コストを無視する・・・
これは「方針制約を取り去る」=ボトルネックの除去ということです。
MGを学んでいる人はMQ思考に賛成しますが、MQ思考の反対側にあるものは極論すればVを考えないということです。Vが高いからといっても、Gとは相関関係がありません。
この料理屋さんたちは、Vをかけてもっと見栄えのする料理を出したらいいのです。板前も腕をふるえる素材に向かっていけばやる気も出るでしょう。
そうしてお客様に喜んでいただいて、何度もお店に足を運んでQアップを達成すれば儲かるのです。
しかも料理屋さんは素材の鮮度が命です。
鮮度は回転数を意味します。だから必要量だけ仕入れなさいということになり、それは少量だからVは上がるよということになります。
だからVが上がることを恐れてはならないということになります。
A県C市場の千葉専務は、MGで「フェアトレード」という話をよくします。高く買えともいいます。
彼は生産者保護と言ってますが、フェアトレードは、生産者保護であり、利益創造への道へとつながっていきます。
ボランティアは誰かが損をして我慢するという意識がどこかにあって踏み切れないものですが、やはりそこにも利益に通じる道があるとなると、少し考え方も変わってくるのではないでしょうか。