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■ガス給湯器販売会社の在庫

今朝風呂に入っていてふと思ったのが、以前耳にしたガス給湯器販売会社のことでした。

その会社は給湯器を設置・販売しているのですが、思ったように平均M(粗利益)が上がらずに困っていました。

理由はお客様から給湯器設置の依頼があると、社員は倉庫にある一番安い給湯器を持ってすっ飛んでいくからです。

経営者はもうちょっと高い高性能の給湯器を売ったほうが結局はお客様にとって良いし、自社も儲かるのですが、社員は目の前にある在庫をもって駆けつけるわけです。

これでは儲かりません。

しかし社員は困っているお客様のために必死で動いているのですから経営者もとがめることもできません。

さて、どのようにしたらこの問題を解決できるのでしょうか?

経営者も社員も「善意」であるだけに問題解決を複雑にしています。

■在庫管理

結論からいえば、この会社は安い商品在庫を持たないようにすることです。

常時在庫とする商品は少し高いものにして、逆に最も安価な普及品を注文があってから取り寄せればこの問題はかなり解決します。(社員は、お客様が困っているからとりあえず手元にあるものを持っていくというのですから)

普通の会社は、「V(原価)の安い商品は在庫を多く」持ち、「Vの高い商品は在庫を持たずにその都度メーカーに発注」します。これは在庫金額を少しでも軽減しようとするからです。

■在庫担当者の苦悩

在庫担当者は、事務部門や上司から在庫を減らせという命令を受けて、反論もできないことが続いてきました。

一方、在庫がなくて販売チャンスを逃せば営業重役からも怒鳴られます。

この両者に応えるためには。そして最もリスクが少ないことは、

「在庫金額の少ないものを、販売チャンスを逃さないように少し多めに持って(在庫)おく」という結論になると思います。

■利益

上記のように、売りたくない最安値の商品を、「その都度、発注するもの」という具合に逆転の発想を活かせば、平均Mは上がります。なぜならばお客様からの依頼(特急)に対して商品は「それしか」ないからです。メーカーに発注していたのでは間に合わないからです。

「いや、そうは言っても、P(プライス)を上げたら売れなくなるじゃないか」と言う人もいると思います。ですからいきなり高級品ではなく、底値を少し上げればいいんです。

MGでも入札で、お互いに下げあって15円、14円では嫌だという人は入札を辞退すればいいんです。もしくはMGのプライスカードから20円と21円、22円の札を取って、机の下にしまいこむことです。(使えないようにすればいい)

■消してしまう、廃棄する

面白いもので、人は何かが目の前にあると、それによって動きます

そして、目の前から消してしまえば、それがないものとして動き始めます

以前勤務していた印刷会社の時代。私がコンピュータ室担当者だった頃の話です。

3500万かけたオフコンをやめて、パソコンに替えようとしたときの出来事です。

その巨大なオフコンがあるうちは、幹部社員が「給与計算に使えるかも・・」とか、「もったいないから何かに使え」と言ってきました。

でも、もう決してオフコンの電源を入れないと決心した担当者の私が社長に直訴。
「あのオフコンを売りましょう!」と言いました。
3500万のオフコンは、わずか1年で500万になりました。

しかしコンピュータ室からオフコンが姿を消した途端。
経営会議ではオフコンの再活用は議題に登らなくなりました。

廃棄とは未練も消します。

思考のほこ先も消すものだと知ったのはそのときでした。

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