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■DCが王様、FCは小間使い

 よく分かっているようでいて、本当に分かっていないのが、タイトルの言葉。

Person_0260  DC(直接原価)こそが企業の実態を表しているのに、MGでベテランと言われる人でも、いつの間にかFC的発想(全部原価思考)が忍び込んできます。

 この機械を導入したら採算はとれるのか?という質問などはFC的発想です。正しくは、「この機械はどのくらいのMQ(付加価値)を産むのか」です。

 もし、本社が豆粒のように小さくて、工場が鯨のように大きければ、そして製品が3種類以下ならば、DCとFCは近似値になるかもしれません。でもそれは戦後の町工場。フォードの黒一色の車の時代でした。

 DCを主に、FCを従える立場に置くことは(頭脳の中)、なかなか大変なことです。ついうっかりするとすぐにFCがあなたの脳を支配します。しかも経営会議などでアドバイスをするプロもFC信奉者が多いので、毎月FCの訓練を受けているような場合もあります。

 FCは「それらしく聞こえる」から問題を引き起こします。また、「決して解けない問題」であることもフェルマーの最終定理のように多くの人の興味を引いてしまいます。

 しかしそれは現実を変えはしません。

 なぜなら、実際に会社が良くなってはいないからです。素直に現実を直視すれば、「何も改善はされていない」ということが見えるはずです。

■DCは世界を変える

Mpj040220500001  DCは利益に向かって走っていく列車です。
 対するFCは現状維持で進もうとする自転車です。

 MGを体験し、導入した会社であれば、一度列車に乗ったにもかかわらず、わざわざボロの自転車に鞍替えする必要はありません。それは、なつかしく眺める程度のものです。管理会計を導入するとはそういうことをいいます。

 こうした発言に対して、会計の専門家は「現行の会計はFCだから、製造原価の計算をしなければ、税金の計算が・・」などと言うかもしれません。

 しかし、この言葉に屈して「DCを捨てたら」、 もはや経営者ではなくなるのです。
 彼は経理専門家の奴隷であり、意思決定者ではなくなるのです。

 経営者は明日の企業、世界を変える存在です。
 それは顧客も社員も全てを「良き方向へと」変えていく存在です。

 よって経営者には「変革」という言葉が常につきまといます。
 その変革を阻止するもの・・・それがFC的発想という制約です。

■人が主、方針は従

J0399400  人間が大事という経営者は多いです。

 しかし、FC的発想で人を殺していることも多いです。
 それは下請けや仕入先を切り、社員を切っています。

 本当に人が大事であるならば、方針などは真っ先に切っても誰も悲しまないと思います。ですから、人間主義といいながら、方針に縛られている経営者をみると大きな矛盾を感じます。

 FCで決算をすることは「事実」かもしれません。
 しかし、「事実」と「真実」は違います。

 MGをやり続けるということは、この「FC主義」という亡霊を消し去って、正しい意思決定の世界へ移住するという試みなのかもしれません。それが次のMX会計への入り口のような気がします。 

                                              2008.0118(金) :清水信博

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