■テコの原理
(C)ソフトパワー研究所
ほんの小さな力で、大きな仕事をこなしたり、多くの問題を解決するには、「テコの原理」を知ればいい。
栓抜き、くぎ抜き、油圧ポンプなどは、「テコの原理」で苦もなく大きな力を発揮している。
だから中小零細企業が大きな力を発揮したいのであれば、物理学を学ぶといい。
それが国語と算数だけでは、筋肉に頼る経営になってしまう。
小さな力で、大きな仕事をするという場合。
大きな仕事だけに眼を向けると失敗する。
正しくは、逆の「小さな力」に眼を向けることだ。
小さな力を、どこに向けるのか(場所)、どのように力を入れるのか(方向と量)ということが最大のテーマとなる。それは、「他には力を注がない」ということであり、「他は見ない」ということでもある。
企業には指圧でいう「ツボ」がある。
それがボトルネックの正体でもある。
指圧であれば体全体を揉みほぐすことなく、ツボを的確に押せば体全体が楽になる。
これも、「テコの原理」と似ている。
悩む経営者は、全身を押しまくるように企業の疲れを直そうとする。
しかしそれでは押すほうの経営者の疲れがたまる。
そして、それほどの効果はない。
■力点
扇子を見ると、要(かなめ)の部分をほんの少し動かしただけで、先端は大きく動く。
MGのベテランは大汗をかかずにゲームをやって自己資本を伸ばす。
成績の良いセールスマンも走り回らずに成果を上げている。
TOCで成功した企業は、「こんなに暇でいいのか!?」と驚くくらい時間が生まれ、工場内は怒鳴り声もなく、静か過ぎるほどになる。
成功した企業経営者は、苦労はしても、「それほど大したことはやったとは思っていない」と言う。「当たり前のことを淡々と追求した結果、今の会社になった・・」とも言う。
これを遠慮深いと思うか、性格が良かったと思うか、運だと思うかは判断する人間の自由ではあるが、もうひとつ加えるならば、的確な力点に力を注いだ結果と見ることはできないだろうか。
MGの利益感度分析においても、さほど効果のない要素に多くの力を注いでも大した企業成績は残せない。利益に最も敏感な要素に力を注ぐことによって企業は大きな変化を示す。
大事なことは、利益に対して「最も敏感な要素=力点」を知ることである。次にその力点に力を注ぐことである。
つまり、どこに力を注ぐのか、どのように力を注ぐのかである。
MGでは誰もがこのことは分かる。
しかし、生産部門や営業活動といった分野においては、複雑にからみあっているだけに、MGの利益感度分析に相当する、経営感度分析や生産感度分析はまだ行われていない。営業活動感度分析も行われてはいない。
この各種の感度分析は、「仕事が繋がっている。
従属性、依存性」というように、チェーン、鎖状態であるから、STRACの利益感度分析
のような単一の分析より、少し複雑であるがゆえに、私たちの目をくらませる結果になっている。
しかし、本質はひとつである。
いかに複雑であろうと一点しかない力点を探して、そこに全力を注ぐことである。
テコの原理は、楽して儲けるということにも通じる。