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■利益感度分析

MGではお馴染みになった利益感度分析。

Gに対して最も敏感な要素、感度が高い要素はどれかということで、一般的にはPが一番に来る。

だからPダウンを避けるというのはMGを長年やっていれば誰でも理解はできる。 もしくはPダウンをQアップで賄うという話もある。

では「Vは」どうか?

ここでは、Vダウンのために安く仕入れるとか、一般的な原価低減などという話をするつもりはない。ただ、仕入、製造、販売等に関するロスについては述べてみたい。

■ロスの反対側をみる

あらゆる種類のロスが発生するのは当然ともいえる。ではそのロス分(失ったVQ)を稼ぎ出すために私たちは1個あたりのMで「何個売らねばならないか?、稼がなければならないか?」ということを考えてみたい。

通常、V率の高い企業ほど、相当数のQアップをしなければロス分のVQを賄うことは難しい。

例えば、P=10円 V=8円 M=2円であれば、1個のロス分(V)を全て取り戻すには5個売らなければならない。

ではそのQアップを実現するための生産能力、販売能力、管理能力はあるのか?となると疑わしくなる。

ここで、もしFアップによりロス分を軽症に押さえ、取り戻す個数も2個と減少するのであれば、Qアップにかかる全費用とFアップを比較してFをかけるという選択があっても良いということになる。

ところが、戦略MQ会計の利益感度分析の中には「ロスに関するもの」が存在していないために、MG経験者でも「売れゆくもののみ」で考えてしまうことがある。

売れゆくモノのみで考えるだけではロスに関しての考えは深まっていかない。

MG未経験者の場合、なおさらロスに関する考えは浅くなっている。失ったVQ、製造時間、販売の機会損失などを正確に算出することはできない。全部原価方式で計算していれば間違った答えも出る。それを社内に声高に叫んでもいっこうに会社は良くならない。

■ロスを減らすには逆転の発想が必要

ではロスを減らすにはどうしたらいいのだろうか?

ロスを減少するために、TOCでは配送回数を増やせ、ロットを小さくしろという見た目でFアップとなるようなものを提案している。

ところが、原価担当者、経理担当者、製造管理者などVQやFのアップに敏感な人たちはこの提案を毛嫌いしてしまうことがある。それは彼らの仕事、使命感には、「いかにコストを下げるか」が根付いているからだ。だからコストを上げる要素は敵になる。

こうして、TOCの逆転の発想も彼らによって潰されることはよくある。

しかしながら、一部の利益よりも全体の利益が生まれなければ組織ではない。少しのコストアップで大きな利益創出が可能であれば間違った考えは改めるべきである。費用対効果とは、部分対全体と言い換えてもいいくらいである。

「ロス、不良在庫など」を違った角度から検討し、対処することで、企業はもっと楽に、精度よく生産し、顧客満足度に変換することもできるのではないだろうか。

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