■DCとFC(方針制約)
■FC(全部原価計算)の誤り
P=2万円、V=1万円(材料費)で10個注文が来たとします。
ここで製造業はFC主義ですから、10個作ると1個あたりは?と考えます。
そうなると。
製造原価(単価)=材料費の1万円+(10万円の固定費÷10個)=2万円
となりますから、どうせなら20個作ろうと思います。
それは、
製造原価(単価)=材料費の1万円+(10万円の固定費÷20個)=1.5万円
となり、5千円儲かるだろうと考えるのです。
ところがお客様から頂けるのはP=2万円×10個だけ=20万円ですから、
収入が20万で材料費20万(1万×20個)を払って、固定費10万を払うと
▲10万円となります。
1個5千円儲かるから10個で5万円儲かるはずだと思ったのが損をしてしまい
ました。
■DC(直接原価法)で考えると
では、10個作った場合はどうなるでしょうか?
収入は20万で材料費10万(1万×10個)を払って、固定費10万を払えば
ゼロになり、FCとの差額は10万円になります。
■儲かったはずなのに・・・
全部原価(FC)で考えていた人の利益はどこに行ったのかというと、
結局、資産(BS)に計上されてしまったわけです。
しかも、これは受注した1品だけの話ですが、現状はもっと悲惨です。
余計な10個を作ったわけですから、その後注文がくるかどうかについては
分かりません。不良在庫を作ってしまったと言ってもいいです。
じつは、こうしたことが何百アイテムも行われているのが製造業の特徴です。
とくに標準部品などを作っている会社ほど「短納期に対応するため」に在庫を
積み上げます。
■在庫が増えると
在庫が多くなると、倉庫が手狭になるので隣に倉庫を新築します。
その建設費用、修理費、維持費等々は増加しますが、結局は「そうそう売れないもの、ガンとして動かない在庫、もしかして注文があるかもしれない・・」といったどうでもいいようなモノが顔をそろえます。
こうして企業は、ますます苦しい道を歩むことになります。
しかし、たとえ苦しくとも、経営者には最後の切り札があります。
それは、「お客様が望むものをいち早く届けるのが企業の責務である」と。
お客様第一主義が、その隠れ蓑です。
でも、これはよく見ると、苦し紛れの言い訳でしかありません。
■うどん屋であれば
もしこれが「うどん屋」ならば、10杯注文があるのに20杯も茹でません。
なぜならば「うどんが伸びて」しまうから。
でも、うどん屋は、こんどは「1杯あたりの原価」とやらかします。
こちらは、味がいいのはもちろん、店が綺麗ももちろんですが、PとQの関係が
壊れてしまっています。
「うちの原価は、これくらいかかっているんだから、このくらいのPでないと
採算がとれん」と威張って言います。
そのせいで、Qダウンしても「うどん原価」が気になって、Pは操作しないものです。
やるとすれば、せいぜい新製品開発と称して、「肉うどん」を出すくらいで
しょうか?
でも品数を増やすほど店主は忙しくなって、良いうどんから遠ざかるかもしれ
ません。
■加速度
会社というものは、悪くなる時も、良くなる時も、「加速度をつけて」いくものです。
間違った方針、考え方が加速度を増すと、すぐに資金難に陥ります。
FC主義の採算の眼などがそうです。
一方、正しいものを知り、根本から改めると、加速度をつけて良くなります。
解けない問題などない・・・これはゴールドラットが言ってますが、僕もそう
だと思います。つまり問題が解けないうちは、まだ根源的な問題にまで行きつけ
ていないということだと思うからです。
より深く根ざしている根本原因を潰すところまで「深く考えていない」から、
そこから発している枝葉のような様々な問題群が始末できていない・・・。
ということだろうと思います。
だけど、この根本原因という奴は。
できれば、見たくない、凝視したくもない、逃げて避けて通ることができれば
これ幸いだし、そんなはずはない、幽霊みたいなもんです。
もしくは言われてみれば「じつにあっけない。当たり前」のものです。
でも、それに着手しない経営者は多いものです。
これこそ、真の機会損失であると僕は言いたいですね。
じつは、「正反対のところにこそ真の儲けの糸口」があります。
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